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FreeCADのRenderの使い方


※下記内容はすべてWindows11向けです。
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ついでなのでRenderワークベンチの使い方について記録しておきます。
使用するレンダーはCyclesです。

まずは前の記事に従ってCyclesをセットアップします。
……できましたか?

次に、モデルを準備します。
igesでもstepでもstlでもFreeCADのPartsデータでも何でもいいです。
特になかったらFastenersワークベンチでボルトでも生成しておいて下さい。
ではRenderワークベンチを開きましょう。

FreeCADにおけるRenderingの手順は以下の通りです。
1.Projectを作る
2.モデルにマテリアルを設定する
3.カメラと光源を準備する
4.モデル、カメラ、光源をプロジェクトに紐づける
5.レンダー実行

では追って解説していきましょう。
 

1.Projectを作る
 前の記事で触れたとおり、FreeCADのレンダリングは外部レンダーを呼び出して実行しています。
 そのため、外部レンダーにひとまとまりの情報を渡す必要があり、Projectがそのひとまとまりとなっています。
 外部レンダーの種類ごとにProjectの種類が違うので気を付けましょう。
 今回はCycles projectを選択します。
 それぞれレンダーエンジンごとにプロジェクトが準備されていますが、基本的にはおなじ操作です。
 Project設定で主にいじるのはGround planeとRenderくらいでしょうか。

 Ground planeは、レンダリング時に地平を表示するかどうかの設定です。
 Colorは文字通り色、SizeFactorは地平の拡大率、Zは地平の高さを示しています。

 RenderHeight/Widthはレンダリング出力のピクセルサイズです。
 FHD(1080x1920)くらいにしておけばいいかと思います。





2.モデルにマテリアルを設定
 マテリアルの宣言→モデルに適用の流れです。
 マテリアルは自作することも可能ですが、フリーのプリセットが数多く存在するのでそちらを使います。
 なるべく楽をしましょう。
 FreeCAD既存プリセットのほかに、ウェブで公開しているマテリアルもありますので合わせて説明していきます。
 

 <既存プリセットの選び方>
 Create Materialを選ぶ。


 プリセットを選択をクリックして、一覧から適当なものを選んでOK。
 名前は変えても変えなくても可。
 同名のマテリアルがある場合は変えておく。


 今回はAluminiumを選択。
 ツリービューのMaterialの中にマテリアルが追加されていることを確認する。
 マテリアルを適用したいモデルを選んで”プロパティビュー”ー”データ”を見ると、Materialの項目があるので作成したマテリアルに差し替える。
 これでマテリアルの設定は完了。

 

 次に公開マテリアルプリセットの選び方を解説します。 
 GPUOpenMaterialLibraryとAmbientCGMaterialLibraryがありますが、どちらも無料で公開されているので積極的に使っていきましょう。
 今回はAmbientのほうの使い方にフォーカスします。

 <Web公開されているプリセットの選び方>
 AmbientCG Material Library を開く。
 

 FreeCAD上でAmbientCG Material Libraryが開くので、適用したいマテリアルを探す。
 クリックすれば遷移していく。
 

 希望のマテリアルが見つかったら、1k~8kのJpegまたはPngをクリックしてダウンロード。
 ここでいうKは解像度を表しており、1kは長辺1080pxの画像データであることを意味している。
 kが上がっていけばより高精細なデータになるが重くなる。
 必要に応じたサイズのマテリアルを選択しよう。

 ダウンロードが完了すればマテリアルに追加される。
 モデルへの適用は既存プリセットと同じ。
 これで公開プリセットの選び方は完了。





3.光源・カメラの準備
 見え方のシミュレーションには光源とカメラが必要です。
 準備していきましょう。

 カメラボタンを押してカメラを追加、電球ボタンから光源の種類を選んで光源を追加します。
 カメラはカメラですが、光源にはいくつか種類があります。
 興味がある方は下記URLを参照ください。
 https://github.com/FreeCAD/FreeCAD-render/blob/master/docs/Lights.md
 カメラと光源のプロパティを調整します。
 光源は種類によってプロパティが異なりますが、基本は光源の位置(Placement)、強さ(intensity)、方向(Direction)です。
 ※Sunの場合は無限遠に存在する体なので位置は存在しません。

 カメラの重要なプロパティは位置(Placement)、範囲(Near&Far Distance)、投影方法(Projection)です。
 レンダリングは光の反射などを追跡計算するので、描画する範囲を指定しないと計算が膨大になります。
 ですのでNear DistanceとFar DistanceでClippingする範囲を指定する必要があります。
 ProjectionはOrthographic(正投影)とPerspective(透視投影)があり、消失点が存在するのがPerspectiveです。




4.プロジェクトへ紐づけ
 マテリアルを設定したモデル、カメラ、光源をレンダープロジェクトに紐づけます。
 ツリービューで、プロジェクトとモデル等をまとめて選択して”Rendering View”を押します。

 プロジェクト内に項目が追加されていればOkです。





5.レンダリング実行
 実行したいプロジェクトを選択した状態で”Render project”を押します。
 

 無事レンダリングできました。


 
…操作はシンプルでわかりやすいですが、正直、FreeCADのRender Workbenchは異常に重く時間が掛かりすぎるのでやんないほうがいいかもしれません。
素直にBlenderなどでレンダリングしたほうがいいかと思います。
https://wiki.freecad.org/Tutorial_Render_with_Blender/ja


見ていただきありがとうございました。